同居親にとってはかなり優先順位が大きい子の親権を獲得できるということで内心ほっとすることが多いと思われます。今後は子と一緒に生活していくのですから、安心につつまれるでしょう。
ですが、そんな時こそまずはしっかり今を見据えて子との将来設計をきちんと行う必要があります。これまでは夫婦で子の生活を支えていたのが、これからは同居親が一身でそれを行っていくこととなるので、その場の安易な判断は避け、今自分にできることは何なのか、子にとって必要なのは何なのか正しく検討したうえで、将来の設計に望むべきです。
まず、別居親からの養育費について検討する必要があります。養育費とは子を育てていくためのお金のことですが、これは子の成長に極めて重要な意味を持ちます。日々の食費や衣類費に加えて進学等では高校や大学といったタイミングで大きな支出が考えられます。そういった時に備えて養育費というものを受け取るための準備が必要です。
とはいえ、離婚にまで至った相手に対して養育費とはいえお金の催促をするのはいささか気が引けると考える方も多いと思います。しかし、養育費は本来子の権利ですので、同居親はその子の権利について、子本人が求められないため、それを代理してその権利を実現する義務が有ると考えられます。そのため、子のため、離婚するにあたっては養育費の取り決めをしっかり夫婦間で行った上、それを文章の形として残しましょう。その場合作成した養育費についての取り決め文書は公正役場において公正証書として作成してもらうことが大切です。公正証書というのは、簡単に言えば役所によるお墨付きのことで、このお墨付きが文書に与えられることによって、強い強制力を持つようになります。今回の場合であれば、養育費について取り決めがなされた後、養育費が支払われなくなった等のトラブルが生じた場合、公正証書としての養育費取り決め文書があることで、強制執行を行い、強制的に養育費を回収できるようになります。養育費というのは子が成人するまでの間、支払われ続けるものですので、支払う期間の長さに辟易してしまい、何かの拍子でふと途絶えてしまうことも想定できます。そのため、事前にそうなった場合の対処をしておくことが大切です。
次に、面会交流について取り決めを行うことも大切です。同居親にとっては別れた相手に子どもを会わせるということになりますので、強い拒否感を感じる方も多いと思います。ですが、別居親が日常的に子に対して暴力を振るっていた等、別居親と子を会わせるべきではない事情がない限り、基本的に別居親と子が会うということは、子の心の成長に繋がる重要な作業です。そのため、子と一緒に生活を行っており、まず真っ先に子のことを考えるべき同居親は、ひとまずの自分の感情を切り離し、子にとってそれが良い影響をもたらすだろうかということを冷静に考え望むべきです。
また、一般的に面会交流について取り決めがある方が、別居親から養育費を支給してもらえるケースは多いことも考慮すべきです。もちろん、養育費は本来子のために支払うべきものなので、面会交流を認めることとイコールの関係とはいえない部分もありますが、養育費を支払う側の心理としては、お金は出しているのに会えないという不満から、会えないなら支払わないと言って養育費をストップさせるケースも多く、それは結果的に同居親と子にとってもいいとは言えないものとなるので、面会交流を認めることが子に悪影響でないのであれば、認めることに積極的な姿勢を持つことも重要です。
また、養育費に関連するお金の問題として国や地方公共団体から支給される手当があります。例えば、児童手当や児童扶養手当がこれにあたります。これらは行政窓口で申請することによって支給され、生活費の足しにすることができます。これらは、養育費を含む自己の収入だけでは生活が困難になりがちな同居親の生活を支える重要な制度になります。そのため、住んでいる地方公共団体について手当の有無などを検索し、申し込む手続きをすることが必要です。