養育費とは?
離婚後、親権を獲得した親にとってこれから大きな問題となるのは子の養育になります。自分の子なのだから責任を持って、愛情を注いで育てていけると考える方も多いでしょう。
そのため、離婚の際に養育費を安易に決めてしまっていたり、あるいは、離婚の手続きを早く終わらせたいがために、養育費を何ら取り決めないまま話を進めるというような選択をとってはいけません。養育費というのは離婚という両親の都合によってもなお揺るがすことのできない、子の権利です。それは大人の都合で代えていいものではありません。そのため、両親は離婚の際に自分たちの子にどう成長して欲しいのか、そのためにはどの程度の支援が必要なのかの具体的話し合いをした上で、養育費の支払いという定期的継続的な仕組みを両者の間で成立させる必要があります。
また、養育費の有無というものが、子を持つひとり親の家庭にとって大切な生活の基盤になることは間違いありません。
厚生労働省の統計では離婚後の母子家庭では年収200万円未満の世帯が6割近くも占めており、金銭的な問題が養育親の世帯には常に存在しているということを示しています(図1・図2参照)。特に、子を育てるにあたっては食費や衣料費、そして教育費等と、色々と出費が考えられるところ、養育費なしでは中々養育親が直面している金銭的な問題は解決できません。養育費というものは子の生活を支援する為の費用であると同時に、子を育てる養育親家庭にとっても大切な生活基盤といえます。そのため、養育費についてはその場の流れで考えるのではなく、計画的な検討をしたうえで、必要な取り決めをしておくことが重要といえます。
養育費金額決定のポイント
- 家庭裁判所では養育費算定表を参考に決定されます。
- 養育費算定表は、2万円(所得が低い場合には1万円)の金額の幅を持たせているので、夫婦の意向・収入・住宅ローンの有無など考慮して養育費の金額を決定します。
※協議(話し合い)離婚であれば、離婚公正証書にし、可能であれば連帯保証人を付けます。
養育費算定に必要な書類
父母それぞれの総収入がわかる書類(源泉徴収票、確定申告書)
父母の収入や、生活水準によって決まるため、養育費の金額は各家庭により異なり父母の資力に応じて分担額を決めます。養育費は離婚の原因がどちらにあるか、財産分与の額、親権がどちらにあるか、などとはまったく関係ありません。法律では、養育費の支払義務の終了時期について規定しておらず、夫婦の話し合いによって決めます。20歳か子どもが自立するまで(大学卒業)が通常です。
厚生労働省による「平成18年度全国母子世帯等調査結果報告の離婚母子世帯における父親からの養育費の状況」によると離婚後4年目以降の養育費受取り率は16.5%です。
養育費の支払率が低い理由
① 養育費の取り決めをしていない。
そもそも、離婚のさいに養育費の取り決めをしていない率は子どもを抱え離婚した夫婦全体の62%です(図3参照)。
② 支払義務者の支払意思や支払能力が低い。
時間の経過とともに支払意思が薄れていく。支払義務者の環境の変化による支払能力の低下。支払義務者と子の交流の場となる面会交流がされていない(図4)。
③ 債権の保全をしていない。
出来ることなら、連帯保証人をつけることにより養育費債権の保全を固める必要が有ります。
【図1】
【図2】
【図3】